架空の探偵と現実の探偵の違いとは

「探偵」と耳にした時、あなたは一体、誰を思い浮かべますか?

エドガー・アラン・ポーの小説「モルグ街の殺人」に登場する、世界初の架空の名探偵、オーギュスト・デュパンですか。
それとも、江戸川乱歩の小説に登場する明智小五郎や、横溝正史の作品に登場する金田一耕助など、日本の名探偵ですか。
または、テレビアニメや漫画でおなじみの、名探偵コナンでしょうか?

エルキュール・ポワロ、シャーロック・ホームズ、十津川警部と、架空の名探偵の名前は、映画、ドラマ、小説が好きな人であれば、何人か思い浮かべることが出来ることでしょう。
彼らの主な仕事は、殺人事件の解明だったり、前人未到の世界の大冒険だったりするわけですが、もちろん尾行調査や浮気調査といったおなじみのシーンも頻繁に登場します。

そもそも架空の探偵が解明していく事件は、もっぱら殺人事件と相場が決まっており、探偵の現れる場所は必ず殺人事件現場という、現実的にはありえない状況で満たされています。

現実の私立探偵や興信所の業務といえば、そのほとんどは殺人に関わるものというより、依頼を受け、対象者の身辺を調査するという任務となっています。
それらは聞き込み調査、尾行調査や素行調査といった、およそ地道で地味なものがほとんどであり、架空の探偵とのイメージの乖離があります。

日本の探偵業の歴史は、探偵小説と同様、世界的に見ても古くから始まっており、その始まりは1891年、当時の朝日新聞に「帝國探明會」という探偵会社が広告を出したところから確認されています。
一方の探偵小説の始まりは、江戸川乱歩による1924年の作品「D坂の殺人事件」に登場する名探偵・明智小五郎が最初の探偵であると言われています。

現実の探偵との違い

では現実の私立探偵による仕事内容には、一体いかなるものがあるのか、見ていきたいと思います。
簡単に列挙していくと、次のようなものがあります。

既に取り上げた、聞き込み調査、尾行調査、素行調査のほか、犯罪調査、浮気調査、行方調査、情報調査。他には盗聴器の発見任務や、真贋の鑑定などの仕事があります。

尾行調査については、テレビドラマなどですでにお馴染みの任務になっているので、尾行調査がどんなものかを説明する必要はないかもしれません。対象者の後をつけて、何処へ行った、何をした、誰と合ったかを調べて報告するのが尾行調査です。
素行調査は対象者が日頃何をしているか、人間関係と日常的な行動パターンを調べるものです。素行調査の結果により、問題解決の糸口を得ることになります。

尾行調査や素行調査などあらゆる調査は、捜査対象者に気づかれないようにする必要があり、素行調査や尾行調査は、綿密な計画の元で実施されます。もしかしたら貴方自身も、誰かの依頼によって、探偵による尾行調査や素行調査を、すでに受けてしまっているのかもしれません。

テレビでは盗聴器を発見する番組がたびたび放送されており、盗聴器発見調査を行うのは私立探偵、興信所、専門調査会社の人間たちです。最近の盗聴器は過去の製品にくらべて、非常に精巧にできており、一見しては盗聴器とは分からないものが市販されるようになっています。それらを電波の受信により見分け、発見するのも探偵の任務の一つとなっています。

夫の浮気調査や素行調査・尾行調査など全て興信所の調査は、人権やプライバシーに関わるものであり、そのあたりの配慮も重要になってきます。

以上のようにざっと見渡しても、警察のお偉方と並んで仲良く、殺人事件の推理と解明をするという、一般人が想像する、探偵が最も得意とする筈の殺人事件解決に関わる仕事が、無いということになります。

では、殺人事件に探偵が関わることは、絶対に無いと言い切れるのでしょうか?
残念ながら現在の探偵は、あくまでも一般人であるため、警察による捜査の協力依頼が無い限りは、表向きは殺人事件に首をつっこむことが出来ないようです。

ただし、行方不明事件といった、行方不明者がすでに何らかの理由で死亡している可能性が高い事案の場合、真正面から人の死に直面し、事件の解決に関わることにはなってきます。

行方不明者が行方不明になった理由が明らかな殺人事件だった場合、私立探偵たちは架空の名探偵さながらに殺人事件の推理を行うことがあるかもしれません。